アルファロメオ(Alfa Romeo)は1910年にイタリア・ミラノで生まれた世界最古のプレミアム自動車ブランドのひとつです。F1初代チャンピオン・ル・マン4連覇・DTM席巻・ニュルブルクリンク最速セダン記録と、モータースポーツの歴史そのものを作ってきた伝統を持ちながら、現在はStellantis傘下で「存続するのか否か」という存在論的な問いを問われるほどの販売危機に直面しています。2026年7月時点の最新情報をもとに、アルファロメオの栄光と苦難を解説します。
アルファロメオの歴史
A.L.F.A.の誕生:フランス企業の工場から始まった物語(1910年)
1910年6月24日、ミラノ郊外ポルテッロにあったフランスのダラック社のイタリア工場を買収した起業家グループが「A.L.F.A.(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili=ロンバルディア自動車製造匿名組合)」を設立しました。首席エンジニアのジュゼッペ・メロージが設計した24HPを発売し、性能と精度で即座に注目を集めます。
1915年にナポリの実業家ニコラ・ロメオが経営参画し、社名は「アルファ・ロメオ(Alfa Romeo)」となりました。「アルファ」はA.L.F.A.の略で、「ロメオ」は創業者の姓です。この社名が意味するのは単純に「アルファ(最初・最高)のロメオ(愛と情熱)」——まさにブランドの本質を表す言葉です。
ヴィットリオ・ヤノとエンツォ・フェラーリ時代(1920〜1930年代)
1923年、設計の天才ヴィットリオ・ヤノを招聘したことでアルファロメオは別次元の技術力を獲得します。ヤノが設計したP2(グランプリカー)は1925年の第1回自動車世界選手権(F1の前身)を制覇。そして1930年から1934年にかけて、彼の傑作「8C 2300」がル・マン24時間レースを4年連続制覇するという前人未到の記録を打ち立てました。
この時代、エンツォ・フェラーリはアルファロメオのレーシングドライバーとして活躍し、後にアルファロメオのレースチーム「スクーデリア・フェラーリ」を率いるまでになります。アルファロメオとフェラーリの関係は、のちのフェラーリ製エンジンのアルファロメオへの搭載という形で100年を超えて続くことになります。
F1初代チャンピオンの栄光(1950〜1951年)
1950年に始まったF1世界選手権の第1回シリーズで、アルファロメオはTipo 158(通称「アルフェッタ」)でイタリア人ドライバー・ジュゼッペ・ファリーナをチャンピオンに導きました。翌1951年はアルゼンチンの英雄フアン・マヌエル・ファンジオがTipo 159でチャンピオンを獲得。アルファロメオはF1の舞台で一度も負けないままレース参戦を終了するという伝説的な撤退を決断しました。「名誉ある撤退」はF1史上最も印象的な引き際として語り継がれています。
ジュリア・スプリントGTA:ツーリングカーの神(1965年〜)
1965年のアムステルダム・モーターショーで登場したジュリア・スプリントGTA(Gran Turismo Alleggerita=軽量グランドツーリング)は、アルミボディで極限の軽量化を達成したホモロゲーションモデルです。ヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETCC)・英国ツーリングカー選手権(BTCC)など欧州中のツーリングカーレースでGTAは絶対的な速さを誇示し、アルファロメオとクアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)の名を世界に轟かせました。
フィアット傘下とイタリア政府からの売却(1986年〜)
経営難に陥ったアルファロメオは1986年にイタリア政府系持株会社IRI(産業再建公社)からフィアットグループに売却されます。「スパイク計画(Progetto Spike)」を巡ってフォードとの争奪戦になりましたが、最終的にフィアットが落札。フィアット傘下でプラットフォームやエンジンを共有しながら独自のブランドアイデンティティを維持するという体制が確立されました。
155 V6 TiとDTM制覇(1993〜1996年)
アルファロメオのモータースポーツ復権を象徴するのが155 V6 TiのDTM(ドイツツーリングカー選手権)参戦です。2.5L V6エンジン+革新的な4WDシステムを搭載した155 V6 TiはDTMで圧倒的な速さを発揮し、ニコラ・ラリーニが1993年シリーズチャンピオンを獲得。しかしその4WDシステムが規定変更の引き金となり、翌年度からの参戦禁止となった逸話は「速すぎてルールを変えられた車」として語り継がれています。
156・147・159:復興と迷走(1997〜2010年代)
フィアット傘下で1997年に登場した156(セダン・スポーツワゴン)はクリーンな走りと美しいデザインで欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、ブランドの復権を印象づけました。147(コンパクトハッチバック)・159(ミドルセダン)・ブレラ(クーペ)・スパイダーと続きましたが、車重の増大・品質問題が重なり「かつてのアルファの走り」を求めるファンを失望させることもありました。1995年には再び北米市場から撤退し、ブランドの国際的な存在感が薄れる時期が続きます。
8C コンペティツィオーネとブランド復権(2007〜2009年)
2007年に500台限定で発売された8C コンペティツィオーネは、アルファロメオの復権を世界に宣言するハロー・カーとなりました。名前の「8C」は1930年代のル・マン制覇モデルへのオマージュで、マセラティ製4.7L V8エンジン(440hp)を搭載。ツーリングがデザインした美しいボディは現代アルファロメオデザインの原点とも言える存在です。329台製造のスパイダーを加えた計829台は、現在コレクター市場で数千万円のプレミアが付いています。
ジュリア・クアドリフォリオとニュル最速(2016〜2017年)
2016年のジュリア(セダン)・2017年のステルヴィオ(SUV)の登場で、アルファロメオは「本物の走り」への回帰を実現します。ジュリア・クアドリフォリオに搭載されたのはフェラーリのエンジニアが開発した2.9L V6ビターボ(503〜510hp)。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでセダン最速記録(当時)7分32秒を叩き出し、BMW M3・メルセデスAMG C63と真正面から勝負できるスポーツセダンとして世界的に高い評価を受けました。
33 ストラダーレ:21世紀のハイパーカー(2023年)
2023年9月に受注を開始した33 ストラダーレは、1967年のタイプ33レーシングカーへのオマージュとして製作された33台限定の超高級スポーツカーです。価格は約260万ユーロ(約4億円超)で、購入者はV6エンジン(620hp)またはBEVパワートレイン(750hp)を選択できます。完売済みで、アルファロメオが「単なる量販車ブランドではない」ことを世界に示すハロー・カーとして機能しています。
現在の経営状況(2026年7月時点)
2025年:20%増も「ポルシェ・マカン1車種以下」の規模
アルファロメオは2025年のグローバル販売台数が73,000台に達し、前年比+20%という成長を記録しました。成長の主因はジュニア(Junior)の好調な販売です。しかしこの数字の絶対値を見ると、ポルシェ・マカンの単一モデルの販売台数よりも少なく、1990年の過去最高(223,643台)の3分の1にも満たない水準です。
| 指標 | 2025年 | 備考 |
|---|---|---|
| グローバル販売台数 | 73,000台 | 前年比+20% |
| 米国販売 | 5,652台 | 前年比−36.2%と激減 |
| カナダ販売 | 660台 | 前年比−26% |
| 欧州販売 | 成長傾向 | ジュニアが牽引 |
| Quadrifoglio比率 | 販売の11% | 高性能グレードへの需要は底堅い |
| Intensa比率 | 販売の13% | 特別仕様への支出意欲 |
米国市場での危機的状況
北米での売上不振は深刻です。Stellantis CEOのアントニオ・フィローサが「フィアットとアルファロメオの北米での存続を再検討する」という趣旨の発言をするほどで、米国でのアルファロメオ販売が5,652台という数字はBMWの月間販売台数にも遠く及ばないレベルです。
ジュリア・ステルヴィオ後継問題
Stellantisはジュリア(セダン)とステルヴィオ(SUV)の後継モデルの投入を予定していましたが、計画が遅延しています。現行モデルは2027年まで販売を継続する予定ですが、老齢化したプラットフォームへの批判と新型車待ちの顧客離れが販売を圧迫しています。2028年頃にSTLAラージプラットフォームを使用した大型SUVが追加される可能性が報告されています。
Stellantis Investor Day 2026での位置づけ
2026年5月のStellantis Investor Dayでアルファロメオについての計画が提示されました。Stellantisのスポークスマンは「アルファロメオは製品を中心に戦略を規律と展望を持って実行している」と述べ、ジュニアを量販ドライバーに・トナーレをグローバルキーモデルに・33 ストラダーレをブランドのハロー・カーとして位置づける方針を確認しました。クアドリフォリオは2026年3月から生産を再開しています。
現行車種ラインナップ(2026年7月時点)
SUV・クロスオーバー
| 車種 | カテゴリ | 特徴 |
|---|---|---|
| Junior(ジュニア) | コンパクトBEV/HV SUV | 2024年発売。アルファロメオ初のBセグメントSUV・電動車。CMAプラットフォーム採用。Estrema(BEV・280hp)とVeloce(HV・136hp)を設定。2025年の販売増の主力。欧州で積極展開中 |
| Tonale(トナーレ) | コンパクトSUV(ガソリン・PHEV) | 2022年発売。STLAスモールプラットフォーム。2.0Tターボ・PHEVを設定(北米ではPHEV廃止)。生産累計10万台突破。2026年マイナーチェンジを実施 |
| Stelvio(ステルヴィオ) | ミドルSUV | アルファロメオ初のSUV(2017年〜)。2.0Tターボ・Quadrifoglio(V6 520hp)設定。後継遅延で2027年まで現行継続。Quadrifoglio版は2026年3月に生産再開 |
セダン
| 車種 | 特徴 |
|---|---|
| Giulia(ジュリア) | アルファロメオの魂を体現する後輪駆動セダン。50:50の前後重量配分・コラムシフト・ドライバーズカー哲学。2.0Tターボ・Quadrifoglio(V6 510hp)設定。後継遅延で2027年まで現行継続。Quadrifoglio版は2026年3月に生産再開 |
スーパーカー・限定モデル
| 車種 | 特徴 |
|---|---|
| 33 Stradale(33ストラダーレ) | 33台限定・約260万ユーロ。V6ツインターボ(620hp)またはBEV(750hp)の選択制。1967年タイポ33レーシングカーへのオマージュ。カーボンファイバーモノコック。アルファロメオのハロー・カーとして世界的に注目を集める。受注完売済み |
売れ筋・人気車種
2025年はジュニアが欧州での新規顧客獲得の主役として機能し、前年比大幅増の原動力となりました。欧州では「ジュニア→Quadrifoglio仕様へのアップグレード」という顧客獲得の流れも生まれています。トナーレはグローバル累計10万台を達成したキーモデルで、欧州を中心に安定した需要があります。
ジュリア・クアドリフォリオとステルヴィオ・クアドリフォリオは販売台数こそ少ないものの(全販売の11%)、ブランドの象徴として根強いファン(Alfisti)の支持を得ており、1台あたりの収益への貢献は大きいです。
独自技術の解説
クアドリフォリオ(Quadrifoglio)とフェラーリ製エンジン
クアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)はアルファロメオの最高性能グレードを示すバッジです。1923年のタルガ・フローリオでウーゴ・シボッチが幸運のお守りとしてボンネットにクローバーを描いたことに由来し、以来アルファロメオのレーシングカーと最高性能モデルのシンボルとなっています。
ジュリア/ステルヴィオ・クアドリフォリオに搭載される2.9L V6ビターボエンジンはフェラーリのエンジニアが開発した傑作です。フェラーリF154エンジンから派生したこのユニットは全アルミ合金製で、最高出力510〜520hp・最大トルク600N·m以上を発揮します。50:50の前後重量配分・後輪駆動レイアウト・電子制御LSDとの組み合わせで、ジュリア・クアドリフォリオのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ7分32秒(2016年・当時のセダン最速)という記録が生まれました。
後輪駆動プラットフォーム(Giorgio Platform)
ジュリア・ステルヴィオに採用されたGiorgioプラットフォームはアルファロメオが開発した後輪駆動・縦置きエンジン専用設計です。カーボンファイバーのルーフパネル・アルミ製フロントモジュール・鋼製リアモジュールを組み合わせた混合素材構造で、クアドリフォリオの50:50重量配分とドライビングダイナミクスの核となっています。
アルファロメオ・デザイン哲学:「美しさは機能である」
アルファロメオのデザインには「スクッデット(三角形の盾のグリル)」「サイドミラーをドアパネルに設置するコラムマウントミラー(ジュリア)」「ティアドロップ形のフロントグリル」という固有のデザインコードが貫かれています。これらは単なる装飾ではなく、空力・安全性・ドライバーの視野という機能的な意味を持つとアルファロメオは主張します。現在のデザインディレクター、アルジャン・デウィ・チョゲは「アルファのデザインは感情を動かすことが目的だ」と語っています。
グレード体系
| グレード名 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|
| Sprint | エントリーグレード | 基本装備を揃えた入門グレード |
| Super | スタンダードグレード | 装備充実・本革シートオプション |
| Veloce(ヴェローチェ) | スポーティグレード | スポーツサスペンション・専用外装・AWD設定。「速い」を意味するイタリア語 |
| Competizione(コンペティツィオーネ) | 上位スポーツグレード | 「競技」を意味する。クアドリフォリオより手の届きやすい高性能グレード |
| Tributo Italiano | 特別仕様 | イタリア国旗カラー・特別内装の限定グレード |
| Estrema(エストレマ) | 電動最上位 | ジュニアBEVの最強グレード・280hp。「極限」を意味するイタリア語 |
| Quadrifoglio(クアドリフォリオ) | 最高性能グレード | ジュリア・ステルヴィオのフラッグシップ。フェラーリ製V6・510〜520hp。2026年3月生産再開 |
不祥事・問題の歴史
品質問題の歴史(1970〜2000年代)
アルファロメオはかつて「美しいが壊れる」というイメージを持つ時代が長く続きました。特に1970〜80年代の錆問題・電気系統の不具合・信頼性の低さは北米市場での評判を大きく傷つけ、1995年の北米撤退の一因となりました。フィアット傘下での品質改善が進み、ジュリア・ステルヴィオの登場でJ.D. Power等の品質調査スコアが大幅に向上しましたが、「アルファロメオは壊れる」という根強いイメージは、特に旧型モデルの経験を持つ層の中に残っています。
Stellantisによる計画遅延と品質問題(2022〜2025年)
トナーレの発売初期には接続不良・ソフトウェアの不具合が報告されました。またPHEV版の性能・燃費が期待値を下回るという批評もあり、2025年に北米でのPHEV廃止に至りました。ジュリア・ステルヴィオ後継モデルの遅延はStellantisの財務問題・開発資源の配分問題を反映しており、ブランドの将来に対する不確実性を高めています。
北米市場での迷走(1986〜現在)
アルファロメオの北米展開は「参入→失敗→撤退」のサイクルを繰り返してきました。1986年北米参入→品質問題で撤退(1995年)→4Cで再参入(2015年)→ジュリア/ステルヴィオで本格復帰(2017年)→2025年に再び36%の販売急落という流れは、北米市場でアルファロメオが安定した地位を確立できていないことを示しています。
モータースポーツの歴史
F1での伝説:無敗の撤退(1950〜1951年)
アルファロメオはF1世界選手権が創設された1950年に参戦し、Tipo 158(アルフェッタ)でニーノ・ファリーナが初代チャンピオンを獲得、1951年はファンジオで連覇を達成しました。その後生産事業に集中するため「全勝のまま」レースを離れるという前例のない決断をしました。この判断はアルファロメオの「モータースポーツに対する純粋な哲学」の表れとして語り継がれています。
スポーツカーレースでの黄金時代(1930〜1970年代)
8C 2300のル・マン4連覇(1931〜1934年)に始まり、タイポ33はスポーツカーレースで10年間にわたって活躍し、1975年と1977年の世界メイク選手権を制覇しました。このTipo 33の数字が現在の「33 ストラダーレ」の名前の由来です。
GTA・GTVとツーリングカーの覇権(1965〜1990年代)
ジュリア・スプリントGTAはETCC・BTCCを席巻し、後のGTV6・75がDTMやスーパーツーリングクラスで活躍しました。1993〜1996年の155 V6 TiによるDTM制覇はアルファロメオのモータースポーツ史上最後のワークス参戦でのビッグタイトルとなっています。
現在のモータースポーツ
現在アルファロメオはワークスとしての直接的なモータースポーツ参戦は行っていませんが、FIA F3・F4等のカテゴリでエンジン供給・ブランドパートナーシップを維持しています。また33 ストラダーレの購入者を対象にしたトラックデー・走行体験イベントを通じて、「アルファロメオとサーキット」という関係を現代に継続させています。
チューニング・アフターパーツ
アルファロメオの純正スポーツアクセサリー
アルファロメオはモデルごとに「レース」「パフォーマンス」「スタイル」の3カテゴリのアクセサリーパーツを展開しています。ジュリア・クアドリフォリオ向けのカーボンファイバーパッケージ(フロントスポイラー・ミラーカバー・リアスポイラー・エアインテーク)はビジュアルの差別化として人気があります。
主なアフターマーケットパーツメーカー
| メーカー | 国 | 得意分野・主な製品 |
|---|---|---|
| Novitec(ノヴィテック) | ドイツ | ジュリア・ステルヴィオのエンジンチューニング・エアロパーツ。クアドリフォリオのパワーアップ(600hp超)実績あり |
| Romeo Ferraris(ロメオ・フェラーリス) | イタリア | イタリアのアルファロメオ専門チューナー。ジュリア・ステルヴィオ向けコンプリートチューニング。「アルファロメオ+フェラーリス」という名前通りの専門性 |
| Autodelta(オートデルタ) | イタリア | かつてのアルファロメオ公式レーシングチームの名を継ぐ現代のチューナー。GTAレプリカ・ヒストリックカーレストアで有名 |
| Scorpion Exhausts | 英国 | ジュリア・ステルヴィオ向けスポーツエキゾースト。アルファのエンジン音を最大限に活かすチューニング |
| KW Suspension | ドイツ | ジュリア・ステルヴィオ・トナーレ向けコイルオーバー・スポーツサスペンション |
| Brembo(ブレンボ) | イタリア | アルファロメオに純正採用もされるブレーキブランド。アップグレードキットが充実 |
| Sparco・OMP | イタリア | アルファロメオ競技車両向けロールケージ・シート・ベルト。GTAレプリカビルドに定番 |
人気チューニング車種
- ジュリア・クアドリフォリオ:フェラーリ製エンジンのポテンシャルを引き出すECUチューニングが人気。インタークーラー・エキゾーストの変更で600hp超も実現可能。後輪駆動+LSDという素直な特性がサーキット走行に最適
- 156 GTA / GT / GTV:欧州のアルファロメオ愛好家(Alfisti)には根強い人気。ツインスパーク(Twin Spark)エンジンのチューニング・サスペンション改良が定番。レプリカビルドも多い
- 147 GTA / 155 V6 Ti:DTMレプリカビルドとして欧州で人気。オリジナルの4WD仕様への換装を試みるビルダーも存在
- 8C コンペティツィオーネ:希少性から改造よりもオリジナル状態での維持が主流。ただしスポーツマフラー・ホイール交換のドレスアップは行われる
生産拠点
| 国・地域 | 拠点 | 主な生産車種 |
|---|---|---|
| イタリア(カッシーノ) | カッシーノ工場(Stellantis) | ジュリア・ステルヴィオ。アルファロメオのRWD主力モデル生産拠点 |
| イタリア(ポミリャーノ・ダルコ) | ポミリャーノ工場 | アルファロメオ・ジュニア(CMAプラットフォーム) |
| イタリア(トリノ・ミラフィオーリ) | ミラフィオーリ工場 | 33 ストラダーレ(手作り・少量生産) |
| イタリア(ポーラ / メルフィ) | 各Stellantis工場 | トナーレ(メルフィ工場一部) |
| ポーランド(チームシャ) | Stellantis Tychy工場 | アルファロメオ・ジュニア(CMAプラットフォーム・欧州向け) |
主要販売市場
| 市場 | 状況 | 主力車種 |
|---|---|---|
| 欧州(イタリア・西欧) | 最大市場。ジュニアが新規層を開拓。Alfistiによる根強いジュリア・ステルヴィオ支持 | ジュニア・トナーレ・ジュリア・ステルヴィオ |
| 米国 | 2025年に5,652台と前年比−36%。ジュリア・ステルヴィオの老齢化と代替モデル不在が響く | ジュリア・ステルヴィオ・トナーレ |
| カナダ | 米国同様に低迷。660台と大幅減 | トナーレ・ジュリア・ステルヴィオ |
| 中国 | アルファロメオの現地ディーラー網でジュニア等を展開。需要は限定的 | ジュニア・トナーレ |
| 日本 | 正規ディーラー(ステランティスジャパン系列)がジュリア・ステルヴィオ・ジュニア・トナーレ・33 ストラダーレを取り扱い。コアなAlfistiを中心に安定した支持 | ジュリア・ステルヴィオ・ジュニア |
| オーストラリア・中東 | 少量ながら安定した需要。Quadrifoglio版への高い需要 | ジュリア QF・ステルヴィオ QF |
日本市場について
日本市場ではStellantis Japanの正規ディーラー網を通じてアルファロメオが販売されています。ジュリア・ステルヴィオ・ジュニア・トナーレが主なラインナップで、全国の主要都市にアルファロメオ正規ディーラーが存在します。
日本のアルファロメオファン(Alfisti)は特に熱心で、「アルファロメオ・クラブ・ジャパン」をはじめとするオーナーズクラブが活発に活動しています。欧州でのミッレミリア(クラシックラリー)参加・ヒストリックカーイベントへの情報収集と共有が活発な、世界でも有数のAlfistiコミュニティが形成されています。ジュリア・クアドリフォリオはFR・MTトランスミッション(6速MTを日本でも選択可能)を好む走り好き層に特に支持されています。
アルファロメオの評判・口コミ傾向
高く評価されているポイント
- ジュリア・クアドリフォリオの走り:「V6サウンドと後輪駆動の一体感は同価格帯で他に並ぶものがない」という評価が世界中の自動車メディア・オーナーで一致している。ニュル最速記録の説得力と実際の走行フィールが一致していると評される
- デザインの美しさ:スクッデットグリル・コラムマウントミラー・全体のプロポーションは「イタリア車でしか実現できない感情的な美しさ」として評価されている
- ブランドの独自性・希少性:「大量に売れないからこそ特別」という価値観を持つオーナーに支持されている。路上での遭遇頻度の低さが個性の表れとして評価されることもある
- 33 ストラダーレという哲学:市販スーパーカーとして最高水準の技術と美学を持つ33 ストラダーレは、「アルファロメオは量だけが目的ではない」というメッセージを体現するとして支持される
批判・不満が多いポイント
- 販売台数の少なさ=ブランド存続への不安:73,000台という数字はビジネスとして持続可能な規模ではないとの指摘が多い。「次にディーラーに行ったとき閉まっていないか心配」という声がオーナーコミュニティで見られる
- 新型車投入の遅さ:ジュリア・ステルヴィオは登場から時間が経ち、後継が出ないまま販売を継続していることへの不満が根強い
- ソフトウェア・インフォテイメントの完成度:特にトナーレの初期モデルで報告されたソフトウェア不具合が信頼性への疑問を招いた
- 価格に対するリセールバリュー:リセールバリューが低く、維持コストの面でハンディがある
- Stellantisの経営問題の影響:親会社の大幅赤字・コスト削減がアルファロメオへの投資・新型車開発に直接影響しており、「Stellantisがアルファロメオを守る意思があるか」という根本的な不安が存在する
まとめ:アルファロメオの今と今後(2026年7月時点)
アルファロメオは115年の歴史の中でF1初代王者・ル・マン4連覇・DTM制覇・ニュル最速セダンという名誉を積み重ねてきた、自動車史上最も輝かしいモータースポーツの遺産を持つブランドのひとつです。しかし2026年現在、年間73,000台という絶対値は「プレミアムブランドとして持続可能な規模か」という深刻な問いに直面しています。
ポジティブな側面としては、ジュニアのBEV成功・トナーの10万台突破・クアドリフォリオの2026年3月生産再開・33 ストラダーレというハロー・カーの存在があります。Stellantis Investor Day 2026では「ジュニア→トナーレ→33 ストラダーレという3本柱」という戦略が明示されており、ブランド廃止の計画はないことが確認されています。
しかし米国での36%販売減・ジュリア/ステルヴィオ後継の遅延・親会社Stellantisの財務問題という三重苦は現実です。アルファロメオが次世代のジュリア・ステルヴィオ後継をいつ・どの形で投入できるかが、ブランドの存続を左右する最大のポイントです。「誰もが愛するが、誰もが心配する」——それがアルファロメオです。