事故で車が修理に入ったとき、修理工場の代車に空きがなかった・希望の車種がなかったという経験はありませんか。そのようなときに役立つのが「レンタカー特約(代車費用特約)」です。この記事では特約の仕組み・日額の選び方・補償されないケース・本当に必要な人かどうかの判断基準を詳しく解説します。
レンタカー特約(代車費用特約)とは
レンタカー費用特約とは、事故で契約自動車の修理が必要となった場合、その期間のレンタカー費用を一定額・一定期間まで補償する特約です。ただし、契約した一定額・一定期間の全額が支払われるわけではなく、設定した支払限度日額を上限に実額分が支払われます。
つまり日額10,000円に設定していても、実際に借りたレンタカーが1日8,000円であれば8,000円が支払われ、差額の2,000円は受け取れません。設定日額は「上限」であり「定額払い」ではない点が重要です。
修理工場の「無料代車」との違い
事故や修理の際に修理工場・ディーラーが無料で貸し出す「代車」とレンタカー特約は別物です。違いを正確に理解しておくことが重要です。
| 修理工場の代車 | レンタカー特約 | |
|---|---|---|
| 費用 | 無料のケースが多い | レンタカー費用を特約で補償 |
| 車種・グレード | 工場の在庫次第・選べないことが多い | 自分で希望の車種を選べる |
| 台数 | 工場の保有台数に限りがある | レンタカー会社の在庫から選べる |
| 繁忙期 | 空きがなく借りられないことがある | レンタカー会社に在庫があれば借りられる |
| 保険との関係 | 修理工場が提供するサービス | 任意保険の特約として補償される |
車検の繁忙期などは代車に空きがないことも多く、また修理工場やカーディーラーにもよりますが、代車を5台程度しか準備していないという場合もあります。代車を自分で準備しなければならないときに、レンタカー費用特約をセットしていれば、レンタカーを借りる際の費用負担を軽減できます。
補償内容の詳細
補償される期間
補償される期間は保険会社・契約内容によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
| 状況 | 補償日数の目安 |
|---|---|
| 修理が必要な事故(車が使える状態になるまで) | 最大30日間が多い |
| 全損・盗難で新たな車を取得するまでの期間 | 最大30〜90日間(会社による) |
| 故障・バッテリー上がりで走行不能になった場合 | 走行不能期間のみ(会社により対象外もある) |
お車が全損になり新車に買替えた場合、新車が納車されるまで長い時間がかかる場合があります。この特約では、最大90日間レンタカー費用をお支払いする会社もあります。
近年の半導体不足・部品調達難で新車の納期が長期化しているため、全損時の補償日数は契約前に確認しておくことをおすすめします。日額の設定
保険金日額は5,000円・7,000円・10,000円から選べる会社が多く、金額に応じてレンタカーで借りられる車種のクラスが変わります。
なお保険会社によっては1,000円単位で細かく設定できるところもあります。| 日額設定 | 借りられる車のクラス目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 5,000円 | 軽自動車・コンパクトカークラス | 近距離移動が中心・コストを抑えたい |
| 7,000円 | コンパクト〜普通車クラス | 日常的な使い方をカバーしたい |
| 10,000円 | 普通車〜ミニバンクラス | 家族での移動が多い・仕事でも使う |
| 15,000〜20,000円 | 大型・高級車クラス | 高級車・大型SUVを普段使いしている |
日額の設定が高いほど保険料も上がります。普段乗っている車のクラスと使い方を基準に設定してください。
保険料への影響
年間保険料に5,000円から15,000円前後の上乗せ保険料が発生します。
日額・設定日数・保険会社によって異なるため、見積もり時に確認してください。補償されるケース・されないケース
補償されるケース
- 事故によって車が修理に入り、修理期間中にレンタカー会社(「わ」ナンバー)からレンタカーを借りた
- 車両保険が適用される事故で車が全損になり、新しい車が納車されるまでの間レンタカーを使用した
- 盗難で車が戻らず、代替車両を手配するまでの間レンタカーを使用した
- 故障・バッテリー上がり等で走行不能になり、修理工場へ搬送された後にレンタカーを使用した(会社・契約内容による)
補償されないケース
- 車両保険の対象外の事故:限定型(エコノミー)車両保険で自損事故・当て逃げの場合は、車両保険が適用されないためレンタカー特約も適用されないケースが多い
- 修理工場の代車を借りた場合:修理工場等から代車(レンタカー以外)を借りた場合は補償対象外です。レンタカー事業者から借りたレンタカー(「わ」ナンバー等)が補償の対象です。
- 設定日数を超えた期間:補償日数の上限(30日・90日など)を超えた部分は全額自己負担
- 日額を超える費用:設定日額を超えるレンタカー費用は自己負担。日額10,000円設定で12,000円のレンタカーを借りた場合、差額2,000円は自己負担
- 車両保険を付けていない場合:車両保険なしの契約ではレンタカー特約が付帯できない保険会社が多い
- 地震・津波・洪水等の免責事由による事故:車両保険が適用されない事由はレンタカー特約も対象外
- 故障で修理工場に搬送されない場合:故障損害や走行障害等で、お車が修理工場等に運搬されない場合は補償の対象外です。
使い方の手順
STEP 1:事故発生後すぐに保険会社に連絡する
事故が発生したら当日中に保険会社に連絡します。このとき「レンタカー特約を使いたい」と伝えてください。
STEP 2:修理工場・ディーラーと入庫の手続きをする
修理工場への入庫が確定したら、修理期間の見通しを確認します。修理工場の代車に空きがない・希望の車種がない場合にレンタカー特約を使います。
STEP 3:レンタカー会社を自分で手配する
ニッポンレンタカー・トヨタレンタカー・タイムズカーなどレンタカー会社(「わ」ナンバーの事業者)に自分で予約・借り入れをします。保険会社指定のレンタカー会社がある場合はそちらを優先してください。
STEP 4:領収書を必ず保管する
レンタカーを返却する際に領収書をもらい、必ず保管してください。保険金請求の際に提出が必要です。
STEP 5:保険会社に費用を請求する
30日以内の費用はレンタカー会社から保険会社へ請求がいく場合もありますが、
直接請求が必要な場合もあります。保険会社の指示に従って手続きを進めてください。レンタカー特約が必要な人・不要な人
付帯を検討すべき人
- 毎日通勤・通学で車を使っている:修理中に代替手段がないと困るため特約の価値が高い
- 地方在住で公共交通機関が少ない:車がないと生活に支障が出る環境では必須に近い
- 家族の送り迎えに毎日車を使っている:子どもの送迎・介護など代替が難しい用途がある場合
- 修理期間が長くなりやすい外国車・旧車に乗っている:部品調達に時間がかかり修理期間が長期化するリスクがある
- 全損リスクが高い高額車・新車に乗っている:全損時の買い替え期間中の補償として有効
- 繁忙期に事故リスクが高い:年末年始・お盆など代車が確保しにくい時期に事故が起きやすい環境
付帯しなくてもよい人
- ディーラーや修理工場としっかりした関係ができている:代車を無料で確保できる可能性が高く、かつグレードも調整してもらえるかもしれません。
- 家族に別の車がある:修理中は家族の車を使えるため代車が不要な場合
- 週に1〜2回程度しか車を使わない:公共交通機関・タクシー等で代替できる用途
- 車両保険を付けていない:車両保険なしではレンタカー特約を付帯できない保険会社が多い
- テレワーク中心で通勤に車を使わない:日常的な移動手段として車への依存度が低い
よくある質問
もらい事故で相手の保険からレンタカー代を請求できますか?
相手の過失が100%のもらい事故であれば、相手の対物賠償保険から修理期間中の代車費用(相当額)を請求できます。この場合、自分のレンタカー特約を使う必要はなく等級も下がりません。ただし相手が任意保険未加入の場合は請求が困難になるため、そのようなリスクに備えて自分のレンタカー特約を付けておくことにも意味があります。
修理期間が設定日数を超えた場合はどうなりますか?
設定日数(例:30日)を超えた日以降のレンタカー費用は全額自己負担になります。修理期間が長くなりそうな場合は修理工場に代車の手配を依頼するか、上限日数が多い(90日など)保険会社・プランを選ぶことを検討してください。
カーシェアリングは補償されますか?
カーシェアリング(タイムズカー・オリックスカーシェアなど)が補償対象になるかは保険会社によって異なります。「わ」ナンバーのレンタカー会社が対象という条件が多いため、カーシェアが対象かどうかは契約前に保険会社に確認してください。
レンタカー特約を使っても等級は下がりますか?
レンタカー特約単独での請求で等級が下がることはありません。ただし事故でレンタカー特約を使う場合は、同時に車両保険や対物賠償保険なども使っているケースが多く、それらの保険を使用したことによって等級が下がります。
まとめ
レンタカー特約(代車費用特約)は毎日の生活に車が欠かせない人ほど価値が高い特約です。修理工場の代車は無料であることが多い一方で、台数・車種・繁忙期の空き状況に制約があります。希望の車を選んで確実に使えるという点でレンタカー特約は安心感につながります。
一方で、週数回しか車を使わない・別の交通手段が確保できるという環境であれば、年間5,000〜15,000円の保険料を上乗せしてまで付ける必要性は高くありません。自分の生活スタイルと車への依存度を基準に、付帯するかどうかを判断してください。