プジョー(PEUGEOT)はフランスを代表する自動車ブランドで、1810年の創業から200年以上の歴史を持ちます。205 GTiというホットハッチの伝説を生み出し、ル・マン24時間を三度制し、WRCでも世界選手権を制した輝かしいモータースポーツの歴史を持つ一方で、i-Cockpit・ライオンバッジ・「フレンチシャルマ」を旗印に現代では欧州最多のEVラインナップを誇るメーカーへと変貌しています。2026年7月現在の最新情報をもとに徹底解説します。
プジョーの歴史
創業:コルクと刃物からコーヒーミル、そして自転車へ(1810〜1880年代)
プジョーの歴史は1810年、フランス東部のソショーでアルマン・プジョーの家族が金属加工業を始めたことに端を発します。最初の主力製品は刃物・鋸・ばね・コーヒーミルなどの金属製品でした。ライオンのエンブレムが初めて採用されたのも1847年のことで、プジョー製品の「刃の鋭さ・鋼の堅牢さ・しなやかさ」を象徴するものとして定着します。1882年には自転車の製造を開始し、当時の交通革命に乗り出しました。
自動車の黎明期(1889〜1910年代)
1889年のパリ万博でゴットリープ・ダイムラーと出会ったアルマン・プジョーは、内燃機関付き車両の可能性に気づきます。1891年に蒸気エンジン搭載の三輪車を製造し、翌1892年にはダイムラー製エンジンを搭載した四輪自動車を発売。1913年にはインディアナポリス500にプジョーのレーシングカーが出場し総合優勝を果たすなど、創業初期からモータースポーツへの高い関心を示していました。
大衆車メーカーとしての確立(1920〜1970年代)
両大戦間期から戦後にかけてプジョーは堅実な大衆車メーカーとしての地位を固めます。1948年発売の「203」は戦後フランス復興を象徴する実用車として大ヒット。1960年代に登場した「404」「504」は新興国市場でも爆発的に普及し、アフリカ・中東では今日でも現役で走り続ける504が見られるほど高い耐久性を誇りました。1974年にはシトロエンと合併して「PSAプジョー・シトロエン」グループを形成し、フランス最大の自動車グループとなります。
205 GTiとホットハッチの革命(1984年〜)
40年前、プジョーは205 GTiを発表することで自動車の歴史を塗り替えました。1984年の1.6Lバージョンに続き1986年の1.9Lバージョンが加わり、205 GTiは卓越したパフォーマンスと走りの喜びをスポーティかつ繊細なデザインと唯一無二の多才さとともに体現した小型スポーティハッチバックという新たなコンセプトを打ち立てました。
205 GTiを他のライバルと際立たせたのは1.6L仕様で848kg・1.9Lで910kgというわずかな車重でした。短いオーバーハング・コンパクトなホイールベース・独立サスペンションの組み合わせにより、ライバルたちが夢見るしかないほどの俊敏性を実現しました。アシストなしの鋭いステアリングとフロントドライブの組み合わせは、ドライバーのインプットに対する反応を格別なものにしました。
205 GTiはゴルフGTIと並び「ホットハッチというジャンルを完成させた車」として自動車史にその名を刻み、現在も中古市場で高いプレミア価格がついています。
モータースポーツ黄金期(1985〜2009年)
ジャン・トッドのスポーツ監督のもと、205 ターボ16は高い速さを見せ数々の勝利を重ねました(マニュファクチャラーおよびドライバーズ世界選手権タイトル)。その成功は大衆の共感を呼び、205の販売増加をもたらし、困難な経済状況においてプジョーを支えました。パイクスピークでの2度の優勝と記録に続き、アリ・バタネン駆る405 T1が1989年と1990年のパリ・ダカールラリーで優勝。905は1991年に3勝を挙げ、1992年にはル・マン24時間レースを含む5勝を記録し世界チャンピオンとなりました。1993年にはル・マンで歴史的な1〜3位独占という快挙を達成しました。
WRCでは205ターボ16(1985〜1986年)でマニュファクチャラーおよびドライバーズ選手権を制覇。2009年にはプジョー908 HDi FAPが世界耐久レース選手権(ILMC)でダブルタイトルを制するなど、複数の時代にわたって世界のレースシーンを席巻しました。
i-Cockpitとデザイン革命(2012年〜)
2012年に登場した「208」にi-Cockpit(アイコックピット)を初採用したことで、プジョーのインテリアデザインは大きく変わりました。小径のステアリングホイールを低い位置に設置し、メータークラスターをステアリング越しに見下ろす独特のドライバービューを実現したこのコンセプトは、「ドライバーが路面に集中できる」という哲学から生まれたものです。以後このi-Cockpitは全モデルに展開され、現在はパノラミックi-CockpitへとさらにEVの時代に沿って進化しています。
Stellantis傘下へ(2021年〜)
2021年にPSAグループとフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が合併し「Stellantis(ステランティス)」が誕生。プジョーはStellantisポートフォリオのブランドのひとつとなりました。これにより開発・生産プラットフォームを他ブランドと共有するメリットを享受しながら、独自の「フレンチシャルマ」ブランドアイデンティティを維持する体制となっています。
現在の経営状況(2026年7月時点)
Stellantisグループの業績
Stellantisは2025年度の業績として純収益1,535億ユーロ(前年比2%減)を報告しました。EVの売上が期待を大幅に下回ったことによる戦略的転換に関連した254億ユーロの特別損失を計上し、純損失は223億ユーロと大幅な赤字となりました。
これはStellantisグループ全体の問題であり、プジョー単体の業績ではありませんが、親会社の財務状況はブランドへの投資にも影響します。一方でStellantisの2026年第1四半期は純収益が前年比6%増の381億ユーロとなり、回復の兆しが見え始めています。
プジョーの販売動向
プジョーは2026年上半期にリテール販売で顕著な成長を達成しています。欧州主流ブランドの中で最も広いEVラインナップを持つことを強みに、2026年のリテールEV販売台数は前年比158%増の2,374台(英国)を記録しました。
また欧州BセグメントおよびLCV(小型商用車)分野でのEVリーダーの地位を維持しています。グローバル販売台数は2024年に約110万台を記録し、140カ国以上でのプレゼンスを持つグローバルブランドとしての地位を維持しています。
EV戦略と「Design to Last」
プジョーのブランド価値は「フレンチシャルマ(French Charisma)・走りの感覚(Driving Sensations)・長持ちする設計(Designed to Last)」の3本柱です。特に「Designed to Last」は電気自動車時代において、8年間・16万km(10万マイル)のバッテリー+車両保証という形で具体化されており、EVへの信頼性に対する顧客不安を正面から受け止めた戦略です。
現行車種ラインナップ(2026年7月時点)
コンパクト・ハッチバック
| 車種 | パワートレイン | 特徴 |
|---|---|---|
| 208 / E-208 | ガソリン・ハイブリッド・BEV | プジョーの主力・最量販モデル。世界で最も検索されるプジョー車。E-208はBセグメントEVのリーダー的存在。2026年後半にE-208 GTiが登場予定(詳細は後述) |
| 308 / E-308 | ガソリン・PHEV・BEV | Cセグメントハッチバック。2025年にPHEVパワートレインを新型にアップグレード。E-308はBEV版として欧州で高い評価を得ている |
SUV・クロスオーバー
| 車種 | パワートレイン | 特徴 |
|---|---|---|
| 2008 / E-2008 | ガソリン・48Vハイブリッド・BEV | コンパクトSUV。E-2008の中古車はサブ1万ポンドのカテゴリで最高のリテールマージンを記録するなど市場での評価が高い |
| 3008 / E-3008 | PHEV・BEV | 2024年にフルモデルチェンジ。Panoramic i-Cockpit・ChatGPT音声アシスタントを標準搭載。E-3008は航続距離約700km(ロングレンジ版)を誇る。デュアルモーター4WD版も設定 |
| 408 / E-408 | ガソリン・PHEV・BEV | クーペSUVのクロスオーバーファストバック。独特のスタイリングで差別化。2026年にトルコでリフレッシュ版を投入 |
| 5008 / E-5008 | PHEV・BEV | 3列シート大型SUV。E-5008は「What Car? ベストエレクトリック7シーター」に選出。デュアルモーター4WD版の航続距離は約400〜500km |
商用車(LCV)
| 車種 | 特徴 |
|---|---|
| Partner / E-Partner | コンパクトバン。英国ではコンパクトバン市場首位(22.8%のシェア)。E-Partner(BEV版)が好調 |
| Rifter / E-Rifter | アウトドア志向のコンパクトMPV。BEV版あり |
| Expert / E-Expert | ミディアムバン。2025年にSportバリアントを追加 |
| Boxer / E-Boxer | 大型バン。EV版も展開 |
注目:E-208 GTi(2026年下半期登場)
プジョーは2026年下半期にE-208 GTiを発売する予定です。GTiバッジ誕生40周年という節目に「史上初の100%電動GTi」として登場するこのモデルは、WEC 9X8ハイパーカーでのバッテリー管理・ハイブリッドドライブ技術から得た知見を開発に活かしています。
E-208 GTiのデザインディレクター、マティアス・ホサンはこう語っています。「E-208 GTiのデザインはバランスの問題でした。私たちの哲学は、どちらかの方向に振り切りすぎないことです。それはパフォーマンスとエレガンスのバランスです。外装デザインを誇示しすぎたり過度に主張したりしたくなかった。クルマを愛する人なら、E-208 GTiを見てすぐにそれがGTiだとわかるはずです。なぜならスタンスでわかるからです」と述べています。
E-208 GTiは車高を25mm下げ、フロントのトレッドを56mm・リアを28mm拡幅した強いスタンスが特徴です。ワイドなフェンダーアーチには205 GTiへのオマージュである赤いラインが入り、フロントスポイラー・グロスブラックの空力ディフューザーが与えられています。
売れ筋・人気モデル
グローバルな検索インタレストでは、208が断然の首位で他モデルを大きく引き離しています。コンパクトセグメントへの消費者の集中が見てとれます。
208はガソリン・BEVを問わずプジョーの顔であり、欧州コンパクトカー市場でシトロエンC3やルノー・クリオと競う主力モデルです。SUV分野では3008・E-3008が「走りの楽しさと電動化の両立」という現代のプジョーの方向性を体現するモデルとして高い評価を受けており、E-3008の品質・洗練度についての試乗評価は欧州メディアで軒並み高得点です。商用車分野ではPartnerが英国でベストセラーコンパクトバンに君臨しています。
独自技術の解説
i-Cockpit・パノラミックi-Cockpit
2012年の208に始まり全モデルに展開されたプジョーの独自コックピット設計思想です。小径ステアリングホイールを低い位置に設置し、メータークラスターはステアリングの上方から見下ろす位置に配置します。ドライバーの視線移動を最小化し、前方路面への集中を高めるという哲学に基づいています。
現行モデルでは大型のパノラミックディスプレイを採用した「パノラミックi-Cockpit」へと進化。3008・5008・408などでは横長のワイドスクリーンとHUD(ヘッドアップディスプレイ)を組み合わせた没入感のある運転空間を実現しています。さらに全モデルにChatGPT音声アシスタントを標準搭載し、インフォテイメント操作を自然言語で行えることも差別化ポイントです。
Stellantis STLAプラットフォーム
E-3008・E-5008はStelantisの新世代電動車プラットフォーム「STLA Medium」を採用しています。このプラットフォームはシトロエン・オペル・DS等他ブランドとも共有するマルチブランド戦略の根幹で、バッテリー搭載効率の最適化・OTA(無線ソフトウェア更新)への対応・スケーラブルな設計が特徴です。
PEUGEOT CARE(バッテリー保証)
プジョーは全コアEVモデルのバッテリーおよび車両に対して8年間・10万マイル(約16万km)のPEUGEOT CARE保証を提供しています。
これは欧州メインストリームブランドの中でも最長水準の保証で、EV購入に際するバッテリー劣化への不安を緩和する重要な差別化要素となっています。GTiバッジの哲学
「グランドツーリングインジェクション」を表すGTiは自動車生活に不可欠な存在となり、熱心なドライバーたちはライオンロゴの横にこのバッジがあるモデルはパフォーマンス・スポーティさ・楽しさに満ちたドライビング体験の体現であることを知っていました。
206・207・208・306などを経て受け継がれてきたGTiのDNAは、2026年のE-208 GTiで初めて電動化されます。グレード体系
| グレード | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|
| Active / Like | エントリーグレード | 基本的な装備を備えたコストパフォーマンス重視のグレード |
| Allure | スタンダードグレード | 快適装備を充実させた中間グレード。多くの市場で最量販グレード |
| GT | 上位グレード | 高品位内装・先進安全装備を充実。スポーティな外装アクセントも加わる |
| GT Premium | 最上位グレード | プレミアム素材・ナッパレザー・マッサージシート等を備える最高装備グレード |
| GTi | スポーツグレード | プジョーのモータースポーツ遺産を受け継ぐ高性能グレード。2026年にE-208 GTiで電動GTiとして復活 |
モータースポーツ活動(2025〜2026年)
WEC・ル・マン24時間:9X8ハイパーカー
Team Peugeot TotalEnergiesは2025年FIA世界耐久選手権に2台の9X8ハイパーカーで参戦しています。2022年にWECデビューを果たした9X8は、2.6L V6ツインターボ+200kWフロントEモーターを組み合わせたハイブリッドAWDハイパーカーです。
2024年に大幅改訂された2024年Evo版が投入されましたが、競争力の改善は道半ばでシーズンを終えました。2025年シーズンはさらなるEvoアップデートを施した車両で参戦しており、2025年最終2戦で連続4位以内フィニッシュを達成するなど、シーズン後半に競争力が向上しています。
9X8はロードカーではなく純粋なレースカーですが、バッテリー管理・ハイブリッドドライブ技術から得た知見はE-208 GTiをはじめとするロードカーの開発に直接フィードバックされています。
モータースポーツの歴史的遺産
プジョーのモータースポーツ遺産は自動車メーカーの中でも特に豊富です。インディアナポリス500(1913年総合優勝)・WRC(マニュファクチャラー選手権5回・ドライバーズ選手権4回)・ダカールラリー(7回総合優勝)・ル・マン24時間(1992年・1993年1-2-3位・2009年)・パイクスピーク(電動車以外の最速記録を保持)など多岐にわたる競技での実績を持ちます。
日本市場について
日本市場ではグループPSA(現Stellantis)系の正規輸入代理店を通じてプジョー車が販売されています。日本法人は「STELLANTIS JAPAN(ステランティスジャパン)」として、プジョー・シトロエン・DSの3ブランドを束ねる体制です。
日本市場ではE-208・E-2008・E-3008・208・2008・308・3008・408・5008などが展開されており、コンパクトEV〜大型SUVまでカバーするラインナップが揃っています。プジョーは日本市場での知名度・販売台数では国産メーカーに大きく及びませんが、フランス車独自のデザイン・乗り心地・i-Cockpitの個性を求める層から一定の支持を得ています。近年は輸入車市場全体のEVシフトに合わせてE-208・E-2008の存在感が高まっており、コンパクトBEVの選択肢として注目を集めています。
アフターパーツ・チューニング
プジョーのアフターマーケットはヨーロッパを中心に形成されており、日本国内でのアフターパーツ市場はフェラーリやポルシェほど大規模ではありませんが、旧車(205 GTi・306・106 GTi)を中心に熱心なカスタムコミュニティが存在します。
| メーカー・ブランド | 得意分野 | 主な対象モデル |
|---|---|---|
| Loeb Evolution / Peugeot Sport | 公式スポーツ部門のパーツ | 208・308向けスポーツサスペンション・パフォーマンスパーツ |
| Cobra Sport | エキゾーストシステム | 208・308 GTi向けスポーツエキゾースト |
| Eibach | サスペンション(汎用含む) | 208・2008・308向けスポーツスプリング・スタビライザー |
| Irmscher(オペル系) | エアロ・インテリア | Stellantisプラットフォーム共有モデル向けカスタム |
現行モデルのチューニングは、欧州においてもガソリン車の205 GTi・306 GTi・106 GTiといった旧型ホットハッチへの関心が特に高く、エンジン・サスペンション・ブレーキの本格的なモディファイが活発なコミュニティを形成しています。現行208 GTiや308 GTiについてはECUチューニング・スポーツエキゾーストが主流です。E-208 GTi(電動)については2026年の発売直後であり今後の展開が注目されます。
生産拠点
| 拠点 | 国 | 主な生産車種 |
|---|---|---|
| ソショー工場 | フランス(本拠地) | 208・2008。プジョー発祥の地で100年以上の生産の歴史を持つ |
| ミュルーズ工場 | フランス | 308・508。フランス国内の主力工場のひとつ |
| スペイン・ビゴ工場 | スペイン | E-2008・2008・E-208を含む複数モデル |
| スロバキア・ティルナ工場(Stellantis) | スロバキア | コンパクトモデル(プラットフォーム共有) |
| 中国・武漢工場 | 中国(Dongfeng Peugeot) | 中国市場向けモデル。EVシフトの遅れで生産が大幅縮小 |
主要販売市場
| 市場 | 状況 | 主力モデル |
|---|---|---|
| 欧州(西欧中心) | 最大市場。フランス・英国・ドイツ・イタリアで高いシェア。BセグメントEVのリーダー的存在。英国でPartnerがコンパクトバン首位 | 208・E-208・E-3008・E-5008・Partner |
| 南米 | Stellantisとして成長が続く地域。プジョーブランドも一定のプレゼンス | 208・2008・3008 |
| 中東・アフリカ | 504以来の根強い信頼がある地域。SUVが主力 | 3008・5008・2008 |
| 日本 | 輸入車市場でのニッチな存在。EV比率が高まりつつある | E-208・E-2008・E-3008・208・3008 |
| 中国 | EVシフトに対応できず苦戦。東風プジョーの生産が大幅縮小。撤退ではなく縮小・再構築方針 | 縮小中 |
プジョーの評判・口コミ傾向
高く評価されているポイント
- デザインの個性と完成度:コンパクトクラスとは思えない彫刻的なエクステリアデザインが欧州で高い評価を受けている。特に3008・E-3008のデザインは「クラスを超えた美しさ」と評されることが多い
- i-Cockpitの独自性:小径ステアリング・高位置メーターという独創的なコックピットは賛否を分けるが、慣れた後は「他のクルマに戻れない」というオーナーも多い
- 乗り心地と静粛性:E-3008・308などフランス車らしいしなやかな乗り心地と高い静粛性が評価されている
- EVラインナップの広さ:欧州主流ブランド最多のEVラインナップを持ち、コンパクトからラージSUVまでBEVで選べる点が評価される
- GTiブランドの歴史と復活:205 GTiの伝説を受け継ぐGTiバッジへの評価は根強く、E-208 GTiへの期待も高い
批判・不満が多いポイント
- i-Cockpitの慣れが必要:小径ステアリングと高位置メーターは慣れるまで戸惑いがあるという声が多い。特に試乗時に「見づらい」という印象を持つ人がいる
- 中国市場での苦戦:EVシフトへの対応遅れで中国市場から事実上の撤退状態に近く、グローバルなブランド力への影響が懸念される
- 親会社Stellantisの財務問題:2025年度に223億ユーロの純損失を計上したStellantisの財務状況は、プジョーへの開発投資に直接影響を与えうるリスク要因
- リセールバリュー:日本市場では国産車・ドイツ車に比べてリセールバリューが低い傾向がある
- ディーラー・サービス網:日本を含む欧州外市場ではサービスネットワークが国産メーカーに比べて手薄で、修理・メンテナンス時の利便性が劣るという声がある
まとめ:プジョーの今と今後
プジョーは205 GTiという熱狂的なホットハッチの伝説、ル・マンでの歴史的快挙、WRCでの世界選手権制覇という輝かしいモータースポーツ遺産を持つ一方で、現代では欧州主流ブランドの中で最も広いEVラインナップを揃えるメーカーへとその姿を変えつつあります。
2026年下半期の最大の話題はE-208 GTiの発売です。40年前の205 GTiが「ホットハッチの定義を変えた」ように、E-208 GTiは「電動ホットハッチの定義を作る」役割を担っています。WEC 9X8ハイパーカーからフィードバックされた電動技術・GTiの哲学・フレンチシャルマというデザインの三つが交わる点がプジョーの個性の核心であり、親会社Stellantisの財務再建と並行して、この個性をいかに維持・発展させるかが今後のプジョーの最大のテーマです。