飛び石による塗装のはげなど、サビが発生しやすい部分をそのまま放置するとサビはどんどん広がり、最終的には鉄板が腐食して穴が開いてしまいます。サビを完全に除去せずにタッチアップなどで塗装しても密着せずすぐ剥がれます。ソフト99(99工房)の「赤サビ転換防錆剤」は、残ったサビに塗るだけで化学反応によりサビを黒い防錆塗膜に変える製品です。この記事では仕組み・使い方・注意点を詳しく解説します。
赤サビ転換防錆剤とは
赤サビに塗るだけで化学的にサビの進行をストップし黒色の防錆塗膜を作ります。通常のサビ処理は「サビを完全に除去してから塗装する」必要がありましたが、赤サビ転換防錆剤は残ったサビの上から直接塗布できるのが最大の特徴です。手が届きにくい場所・複雑な形状の部位でも付属の筆で塗れるため、DIYサビ処理の定番製品として広く使われています。
製品仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品番 | 09204 |
| 内容量 | 70ml |
| 主成分 | アクリル樹脂系エマルジョン・タンニン酸・メタノール・有機酸 |
| 危険物区分 | 第四類・第二石油類(水溶性) |
| 付属品 | 小分けカップ・専用筆 |
| 乾燥時間 | 約2〜3時間(20℃) |
| 使用可能温度 | 10℃以上 |
| 価格帯 | 600〜900円前後 |
なぜ赤サビが黒くなるのか:転換の仕組み
赤サビ転換防錆剤の主成分であるタンニン酸が、赤サビ(酸化第二鉄・Fe₂O₃)と化学反応を起こすことで、タンニン酸鉄という安定した黒色の化合物に変化します。
赤サビはもろくて崩れやすく、空気や水分に触れるとさらに広がり続ける性質があります。一方タンニン酸鉄は緻密で安定しており、鉄の表面を覆って酸素・水分の侵入を防ぐ防錆塗膜として機能します。
| 赤サビ(処理前) | タンニン酸鉄(処理後) | |
|---|---|---|
| 色 | 赤褐色 | 黒色〜暗褐色 |
| 構造 | もろく崩れやすい | 緻密で安定 |
| 進行性 | 広がり続ける | 進行をストップ |
| 塗装との密着 | 悪い(剥がれる) | 良い(上塗り可能) |
使える箇所・使えない箇所
使える箇所
- 車体下回り・フレーム・サイドシル
- フェンダー内側・ホイールハウス内
- ドア下部・ドアの縁
- ボンネット・トランク裏面
- エンジンルーム内の鉄部
- ボルト・ナット・ネジ類
- 自転車・工具・家庭の鉄部(用途は車以外にも広がる)
使えない箇所・注意が必要な箇所
- ブレーキディスク・ブレーキドラム:制動面への塗布は制動力低下につながり非常に危険。絶対に使用しない
- アルミ・ステンレス・亜鉛メッキ・非鉄金属:タンニン酸との反応が起きないため効果がなく、素材を傷める可能性がある
- 気温10℃以下の環境:低温では化学反応が正常に進まず乾燥不良・効果不足になる
- 濡れた状態・雨天・湿気の多い状況:水分があると塗膜が正しく形成されない
- 油分・グリスが付着した面:脱脂せずに塗布すると密着不良になる

正しい使い方・手順
塗るのは2回で、さび落としとシリコンオフによる下地処理をします。点サビなどであればサンドペーパーによる磨きはできないので、状況により工程を変えても問題ありません。
使用前の準備
- 気温10℃以上・晴天または曇りの日に作業する
- ゴム手袋・保護メガネを着用する(メタノール含有のため皮膚・目への付着に注意)
- 換気の良い場所で作業する
STEP 1:サビ・汚れをサンドペーパーで除去する
サンドペーパーやサンディングメッシュシート等(別売)で表面のサビや汚れを落とします。浮いている赤サビ・剥がれかけたサビはしっかり除去してください。完全に除去しなくてよいのがこの製品のメリットですが、表面に密着していない浮きサビは転換前に落としておくほうが効果が安定します。
サビの程度に応じてサンドペーパーの番手を選びます。
- 浮きサビ・軽度のサビ:#80〜#120
- 表面の軽い赤サビ:#180〜#240
- 仕上げ・周辺の平滑化:#320〜#400
STEP 2:シリコンオフで脱脂する
作業後は、シリコンオフで脱脂してください。油分・グリス・手の皮脂が残っていると塗膜が正しく密着しません。シリコンオフをクロスに取り、作業面全体を拭き取ってから乾燥させます。
STEP 3:1回目の塗布
液をカップに取り、付属の筆でサビの上から直接塗布します。付属の小分けカップに使う分だけ液を取り出してから筆で塗ります。直接容器から使うと汚染・劣化の原因になります。
- 筆で薄く均一に塗り伸ばす
- サビの上・周辺の健全な鉄面にも広めに塗布する
- 液が垂れないよう少量ずつ取って作業する
- 1回目塗布後は表面が乾くまで待つ(完全乾燥まで待たなくてよい)
STEP 4:2回目の重ね塗り
一度表面を乾燥させ、塗り残しがないよう2回目の重ね塗りをします。1回目で塗り残した箇所・薄かった箇所を重点的に塗ります。2回塗ることで転換反応が確実に進み、防錆塗膜の厚みと均一性が増します。
STEP 5:2〜3時間乾燥させる
約2〜3時間(20℃)、完全に乾燥させれば防錆塗膜ができあがります。気温が低いほど乾燥に時間がかかります。乾燥後は塗布面が黒色〜暗褐色に変化していれば転換成功です。赤みが残っている箇所はサビが転換しきれていないため、再度塗布してください。
STEP 6(任意):上塗り塗装で仕上げる
硬化後、タッチアップなどで仕上げてください。水性塗料は使用できません。防錆塗膜の上から油性塗料・ラッカー系スプレーを上塗りすることで見た目を整え、さらに保護性能を高めることができます。下回り・見えない箇所では上塗りなしでも防錆効果は発揮されます。
「転換」と「除去」の違い:どちらを選ぶべきか
サビへの対処法には大きく「転換」と「除去」の2つのアプローチがあります。
| 転換(本製品) | 除去(サビ取り剤・研磨) | |
|---|---|---|
| 作業難易度 | 簡単(塗るだけ) | やや手間(研磨・薬剤処理) |
| サビの残留 | 残ったまま転換する | サビを完全除去する |
| 向いている場所 | 手が届きにくい・複雑な形状・広範囲 | ボディ表面・塗装前の仕上げ |
| 上塗り塗装 | 可能(油性塗料のみ) | 可能(各種塗料) |
| 補修後の見栄え | 黒色塗膜が残る | 素地が出てきれいに仕上がる |
下回りや見えない箇所の防錆処理には転換型が合理的です。ボディ表面やドアパネルなど仕上がりの見た目が重要な箇所は、サビを完全除去してから塗装するアプローチのほうが適しています。
作業後のお手入れ・保管
- 筆・カップの洗浄:水洗いで液を洗い流せる。水溶性のため後片付けが簡単
- 容器の保管:密栓して直射日光・40℃以上の高温・凍結する場所を避けて保管する
- 残液の保管:カップに出した分は使い切るか廃棄する。容器に戻さない
よくある質問
サビを全部落とさなくても大丈夫ですか?
この製品の大きなメリットはサビを完全除去しなくても使える点です。ただし浮きサビ・剥がれかけたサビはあらかじめ除去してください。鉄板に密着しているサビの上から塗布することで転換反応が起きます。
塗布後に赤みが残っていますが失敗ですか?
乾燥が不十分な場合・サビが厚すぎる場合・塗布量が少ない場合に赤みが残ることがあります。完全乾燥後も赤みが残る箇所は再度塗布して乾燥させてください。完全に黒変しなくても防錆効果はある程度発揮されますが、転換が不完全なほど効果は低下します。
ブレーキディスクのサビに使えますか?
使用できません。ブレーキディスク・ドラムへの塗布は制動力を著しく低下させ、重大な事故につながります。ブレーキローターの表面サビは走行すれば自然に取れます。錆びがひどい場合は交換を検討してください。
アンダーコートと併用できますか?
赤サビ転換防錆剤で防錆処理後、乾燥させてからアンダーコートスプレーを上塗りする組み合わせは有効です。防錆+防音・防振の効果が得られ、下回りの総合的な保護につながります。
まとめ
99工房 赤サビ転換防錆剤は、サビを完全除去しなくても筆で塗るだけでタンニン酸の化学反応によって赤サビを黒い防錆塗膜に変えられる、手軽で実用的なサビ対策製品です。特に下回り・フェンダー内側など手が届きにくい箇所のDIYサビ処理に威力を発揮します。
ブレーキ周りへの使用厳禁・気温10℃以下での作業不可・油性上塗り限定という点を守り、正しい手順(研磨→脱脂→2回塗り→乾燥)で使えば、確実な防錆効果が得られます。放置すれば腐食が進む一方のサビは、早めに対処することが最も効果的です。